5月, 2015年
こんな医者ならかかりたい
朝日新聞出版から “こんな医者ならかかりたい” という新書が、2015年5月30日に出ました。著者は、多摩大学大学院教授の真野俊樹先生です。
介護まで視野に入れた新しい医療制度のもとで、読者の皆さんが、どのようにかかりつけ医を選び、健康を維持し、今後の人生でどのように医師とつき 合っていくかが理解できるように、真野先生はこの本を書いたそうです。
本の中で、医者である真野先生が 「私が紹介したくない医師」 として、あげていたのは、次のようなドクターでした。
配信 Willmake143
咀嚼嚥下機能が大切な理由
女子栄養大学出版部が発行している月刊誌 「栄養と料理」 は、今年で80周年を迎えます。
その2015年6月号に、“咀嚼嚥下機能がたいせつな理由は?” という文章が載っていました。著者は、歯科医師ではなく、東京大学大学院社会予防疫学分野教授の佐々木敏先生です。
咀嚼とは、厳密には、単純に食べ物を噛むことだけでなく、唾液を分泌させて食べ物と混ぜ合わせ、飲み込みやすい形と大きさにすることまで含みま す。また、食べ物を飲みくだし、胃まで運ぶことを嚥下と呼びます。
佐々木先生によれば、咀嚼困難の有無によって、1年後の生存率に1割近い差がついたヨーロッパの研究があるそうです。
では、咀嚼嚥下の機能に応じて、ふさわしいかたさの食事をとれば、健康を保てるのでしょうか?という質問に対し、佐々木先生は、要介護度、生活自 立度、食事の形状と健康状態の変化との関連を調べた研究では、食事の形状が健康を大きくそこなうことに最も強く関連していると答えています。
「 “咀嚼嚥下機能が落ちたらやわらかい食事を” だけでは、高齢者の栄養問題は解決できそうにありません。エネルギーと栄養素はそろっていても、食べられなければ、そして、食べてくださらなければ栄養に ならないからです。
そのためには、咀嚼嚥下機能を落とさないための前向きな予防対策が求められています。その一つ、咀嚼機能を保つために欠かせないのが “噛める歯” です」 というのが、佐々木先生の結論です。
噛める歯を保とうと歯科医師ではない東京大学大学院医学系研究科の先生が言っていることが、注目に値します。
配信 Willmake143
歯磨きで認知症を防ぐ
日本抗加齢医学会は、一般の方々にも正しいアンチエイジング医学を理解していただけるよう、専門的な情報をわかりやすく解説した 「アンチ・エイジング医学」 という雑誌を2ヶ月に一度、発行しています。
ノーベル賞受賞者の山中伸弥京都大学教授の対談記事も載っている2015年4月1日号の特集は、「口腔機能のアンチエイジング」 でした。
特集論文の中には、“歯磨きで認知症を防ぐ” という面白い内容の論文がありました。著者は東北大学老年科教授だった佐々木英忠先生です。
佐々木先生は 「これまで多くの報告から、日常生活の活発な高齢者ほど、肺炎になりにくく、認知症も少なく、長寿を保てるとの一致した成績がある。
肺炎になりにくいということは、口腔や気道にサブスタンスPというホルモンが多く、誤嚥しにくいということを意味している。
日常生活が活発ということは、全身にサブスタンスPというホルモンが多く、脳にも多いと予想される。脳内のサブスタンスPが多ければ、アルツハイ マー病にもかかりにくくなろう」と書かれています。
口腔ケアを行うことにより、唾液中のサブスタンスPの濃度が高まるそうです。また口腔を刺激することにより、口腔領域という脳の最大の領域を活性 化させることができるそうです。
口腔は、動けなくなった高齢者の認知機能を低下させないように、口腔ケアという最小の労力で最大の脳の刺激という効果をもたらす、最も刺激しやす い部位と考えられます。
歯磨きでの口腔刺激が、サブスタンスPというホルモンを増やすというのは画期的な知見だと、順天堂大学大学院の堀江重郎教授も言っています。
配信 Willmake143
メープルシロップに肝臓を保護する効果
婦人画報の2015年6月号に、いまメープルシロップの栄養的価値が見直されているという記事が載っていました。
メープルシロップは、日本人に不足しがちなカルシウム、マグネシウムや、たんぱく質や糖質の代謝に不可欠な亜鉛、余分なナトリウム(塩分)を排出 するカリウムなどのミネラルが豊富でバランスよく含まれています。また他の甘味料には、ほとんど含まれていないビタミンB2、B1、アミノ酸、ポ リフェノールも豊富で、上白糖や蜂蜜と比べて低カロリーなのが特長です。東京大学大学院の研究チームが、世界で初めてメープルシロップには肝機能 保護効果があることを2011年に明らかにし、2014年には、肥満を抑制する可能性があることも確認しているそうです。肝臓疾患や肝機能異常 は、糖尿病などのあらゆる生活習慣病やメタボリック症候群に密接に関わっています。また老化を引き起こす大きな要因のひとつは、肝機能の低下であ るともいわれています。メタボリック症候群や生活習慣病の予防に期待されているメープルシロップは、カナダではすべての製造過程を厳しく管理され ていて、純粋なカナダ産メープルシロップには原産国 「カナダ」、原材料名 「カエデ樹液」「メープルシロップ」 と記載されているそうです。
記事の中で、次の2種類のメープルシロップが紹介されていました。
配信 Willmake143
“ご飯は太る” は思い込み?
ご飯などの穀類やいも類は、炭水化物を多く含みます。炭水化物の最も重要な役割は、エネルギー源になることです。「日本人の食事摂取基準 2015年版」 では、三大栄養素(エネルギーを生み出す栄養素)のたんぱく質、脂質、炭水化物のうち、総エネルギーの50〜65%を炭水化物から摂取することをすすめて います。
「野菜やヨーグルトを積極的に食べているのに、便秘が改善しない」 という人は、ご飯など主食の量が不足していないだろうか?という記事を2015年5月23日に日経新聞が載せていました。
ダイエットの際に、控えたいのは炭水化物(=糖質+食物繊維)のうちの糖質ということになりますが、穀類のように糖質を多く含む食品は食物繊維も 多く含んでいることが多いので、「主食の摂取を極端に控えると、食物繊維が不足しやすくなる」 そうです。
そう指摘する女子栄養大学栄養生理学研究室の上西一弘教授は 「ご飯を食べると太るというのは思い込み。むしろ、主食を変に制限することで、太りやすくなっている人が多いようだ」 と語っています。
主食は極端に制限するよりも、毎食適量を食べ、おやつを控えるほうがダイエットには効果的だといいます。主食はごはん、パン、めん類のどれを選ん でもいいが、生活習慣病予防の面では、塩分や脂質をほとんど含まないご飯を上西教授はすすめています。
配信 Willmake143