2月, 2022年
コーヒーで糖尿病のリスク下がる 運動に匹敵する効果
「日経Gooday」(日本経済新聞社、日経BP社)は、医療・健康に関する確かな情報を届ける「WEBマガジン」です。
2022年2月24日に配信された情報のテーマは、「コーヒーで糖尿病のリスクを下げる強力な因子 運動に匹敵する効果」でした。
私たちが日々楽しんでいるコーヒー。このコーヒーが、見えないところで私たちの健康を守ってくれているという驚きのエビデンスが続々と報告されているそうです。
その健康効果の核となるのが抗酸化成分のポリフェノールです。総死亡リスクや脳卒中リスクを下げ、糖尿病を抑えるといったコーヒー研究の最新情報と、作用のメカニズムについて、ネスレ日本ウエルネスコミュニケーション室室長の福島洋一さんが解説しています。
35歳以上、約3万人を対象に1992年から行われている「高山スタディ」において、「総ポリフェノール摂取量が多くなるほど総死亡リスクや脳卒中リスクが低くなる」という結果が2019年に報告されています。
日本における食事中のポリフェノール摂取量とその影響を示した初めての興味深い研究です。
ちなみにこの報告でポリフェノール摂取量が最も多い群の1日あたりのポリフェノール摂取量は、952mg以上。コーヒーのみで換算すると、1日あたり3杯相当と、現実的な量だそうです。
近年、コーヒーと糖尿病に関して、2つの興味深い研究が報告されています。
一つは、「コーヒーは2型糖尿病のリスクを下げる強力な因子となる」というものです。
コーヒーは、糖尿病予防のために推奨されている「運動」や「全粒穀物の摂取」と同じレベルで、「リスクを下げる因子」となっています。
「当然ながら、糖尿病リスクを上げていくのは肥満やメタボリック症候群などであると示されています。一方で、コーヒーはリスクを下げる因子のトップ3に入っているのです。
コーヒーがなぜ糖尿病リスクを下げるのか?福島さんによると、現在、そのメカニズムとして以下の可能性が挙げられているといいます。
●糖を取り込む際に働くインスリンの効きをよくする
●小腸において糖の過剰な取り込みを阻害し、血糖値の上昇を抑える
●高血糖時に起こる体内の炎症を抑える
コーヒーを継続的にとることで、このような複数の予防メカニズムが働いている可能性があります。
配信 Willmake143
粘膜免疫
私たちの健康維持に不可欠な、免疫機能。近年、ウイルスなど感染症を引き起こす病原体の侵入口となる鼻や口、喉に備わる「粘膜免疫」の働きに注目が集まっています。
この粘膜に関して新たなワクチン開発という視点で研究を行うのが、三重大学大学院医学系研究科の野阪哲哉教授です。
日経BP総合研究所西沢邦浩客員研究員が粘膜免疫を高めるための秘策について野阪教授にインタビューした記事が2022年2月18日の日経新聞に載っていました。
風邪などの感染症の原因になる病原体の侵入を阻み、万が一感染したとしても体の中で戦い、排除するのが「免疫」という仕組みです。
ウイルスの侵入口となるのが、鼻や喉の表面を覆う粘膜。多くのウイルスは粘膜にくっつくとおよそ10〜20分で粘膜の細胞の中に完全に入り込みます。
だからこそ、感染を防ぐには、ウイルスの最初の感染場所となる「粘膜」という最前線の砦で、侵入を阻む粘膜免疫が重要になるわけです。
ウイルスが最初に接する第一関門である粘膜で、病原体を阻むのが粘膜免疫です。そこで中心的役割を担うのが、粘膜の上に出てきて病原体の侵入を阻止するlgAという抗体です。
粘膜免疫をかいくぐり、病原体が体内に侵人し、いわゆる感染した状態になってからは、第二関門である「全身免疫」の出番です。
全身免疫では、さまざまな免疫細胞が病原体を排除すべく戦います。
多くの文献から、唾液中で粘膜免疫の立役者であるlgA量が低下する主な要因が3つあることがわかっています。
1つめは、加齢です。高齢になるとともに唾液中のlgAの分泌が低下します。2つめは、慢性的ストレス。そして3つめが激しい運動です。
また唾液のlgA量には、lgAがどのくらいの割合で含まれるかという濃度とともに、唾液の分泌量そのものも関わることがわかってきました。
粘膜免疫低下の一つのサインとして、安静時に唾液がたっぷり出ているかどうかもぜひ確認してみてください。
配信 Willmake143
気になる体のにおい
仕事やプライベートで人に会うとき気になる体のにおい。その正体は主に皮膚から漂うガスだといいます。
疲労やストレスがにおいを強くする場合もあります。体臭につながる「皮膚ガス」の種類と対策について2022年2月12日の日経新聞が「カラダづくり」というコラムの中で解説していました。
皮膚ガスを研究する東海大学の関根嘉香教授は「皮膚ガスが発生する仕組みは3通りある」と説明しています。
まずは「表面反応由来」。皮膚の表面にすむ常在菌の作用で体から分泌される汗の成分や皮脂が分解・酸化されて生じます。
次に「汗腺由来」。汗に含まれる酢酸などの成分が原因で、汗をかいたときに酸っぱいにおいがします。
血液中に流れている化学物質が揮発して、皮膚表面から染み出してくる「血液由来」もあります。
疲労やストレスが重なって血液中のアンモニア濃度が上昇し、皮膚から漂う「疲労臭」が知られています。
アルコールを飲んだり、ニンニクを食べたりした後に発するにおいも血液由来になるそうです。
体臭に関する著書がある桐村里紗医師は「腸内環境の乱れも、腸に炎症が起きて体の酸化が進みやすく、体臭につながる。
食事は(様々な食材の頭文宇を並べた)『まごわやさしいこ』を基本にしつつ、発酵食品もとるようにしてほしい」と助言しています。
関根教授は「肉などのたんぱく質のとりすぎは血中のアンモニア濃度を高めてしまい、疲労臭を発生させる原因になりうる」と警鐘を鳴らしていました。
配信 Willmake143
運転寿命を延ばしたい
年齢を重ねても安全にハンドルを握っていたい。「運転寿命」を延ばそうという取り組みが各地で広がっていると2022年2月3日付の日経新聞が伝えていました。
高齢ドライバーの事故が目立つようになった一方、車を手放すと、生活の足や生きがいを失いかねないとの声もあって悩ましいのが実情です。どのような試みがあるのか探った記事でした。
地方では移動手段が限られ、高齢でも簡単に車を手放せない事情があります。そうした高齢者を支援する自治体も目立ちます。
山梨県富士河口湖町では2009年度から「シニアドライバー支援セミナー」を開いています。セミナーは全6回。希望者を募り、毎年40〜50人が参加しています。
ドライブシミュレーターでの講習や専門家の講演に加え、ぬれた路面で急ブレーキをかけて安全に止まれるかをトヨタ交通安全センターモビリタ(静岡県小山町)で体験できるセミナーです。
体を鍛えるのも大切です。「『運転寿命』をのばすドライバー体操」著者で、フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さんは、「高齢者は重量覚(重さに対する感覚)が鈍り、ハンドルを強く握りがちだ」と指摘しています。
強く握りすぎるとハンドル操作がままならず、危険の回避が遅れる可能性があるそうです。
中野さんは対策としてペットボトルを使った体操を勧めています。
運転寿命の延伸は健康寿命にも関係するというデータがあります。
国立長寿医療研究センターの調査では、運転をやめた高齢者は継続した人に比べて要介護状態になる危険性が約8倍に高まるとの結果が出ています。
生活の質(QOL)を維持・向上するためにも、運転寿命を延ばす試みは大事になってくると記事には書いてありました。
配信 Willmake143
東大教授、若年性アルツハイマーになる
2022年1月12日に講談社から『東大教授、若年性アルツハイマーになる』という本が出版されました。
脳外科医で、東京大学の国際地域保健学の教授を務められた故・若井晋先生(2021年逝去)の奥様の若井克子さんが、50歳代半ばで若年性アルツハイマーを発症された先生との「人生という『旅』」」を丁寧に記録したものです。
「認知症に直面し悩み続けた私たちが、何をきっかけにどう変わり、病と付き合えるようになったのか、ありのままを記しました。
老いや死を避けることはできません。でも、人は変わることができるし、新たな望みを見つけて旅を続けることができる──私はそう思います。
わずか一事例にすぎませんが、いままさに私たちと同じ立場で苦しんでいる方が、ここから少しでも希望をくみ取ってくださることを願いつつ……」とプロローグに記してあります。本文には、克子さんの言葉として、次のようなものがありました。
晋は若年性アルツハイマー病になって、知識を、地位を、職を失った。
それは、世間からは「地獄」に見えるのかもしれない。だが私には、むしろ、すべて失ったことで「あるがまま」を得て、信仰の、人生の本質に触れたように感じられるのだ。
おわりに晋が自身の著作で引用した一節を私も引いて、この長い長い旅の締めくくりとしたい。
蝶はせまってくる死にいささかもうろたえない。自分が生まれてきた目的は果たし終わった。
そして今やただひとつの目的は死ぬことにある。だから、トウモロコシの茎の上で、太陽の最後のぬくもりを浴びながら待っているのだ。(フォレスト・カーター「リトル・トリ―』)
病は人生の一過程に過ぎない。
認知症になっても、私は私であることに変わりはない――。
認知症患者800万人時代を生きるための必読書かもしれません。
配信 Willmake143