面会制限の教訓

2022-03-21

面会制限の教訓読売新聞には、「医療ルネサンス」というコーナーがあります。2022年3月15日から6回にわたって取り上げられたテーマは「面会制限の教訓」でした。

コロナ禍で、病院や高齢施設は「面会制限」を余儀なくされました。患者や家族、ケアを支える人たちも、それぞれに重い負担を負いました。どんな教訓を得て、未来につなげるか。医療現場の専門家5人に尋ねて取材しています。
コロナ禍は、日本の医療が抱える様々な弱点を「見える化」しました。面会制限が明らかにしたのは、患者さんの「意思決定」を支える基盤の弱さです。

葛西中央病院(57床)は、ほぼ3日ごとに1人を看取る病院です。高齢者施設や大病院にいて、最後の時間を自宅近くで過ごすために転院してくる患者さんが多いそうです。そういう患者さんを多く受け入れている同病院の土谷院長はこう語っています。

「親が老い衰えていく過程を飛び飛びにしか見ていない家族は、実際に会うと、その変化に愕然とします。「きちんとケアされているのか」と疑念もわきます。
親が亡くなった後、その死を実感できない人もいます。患者さんと家族の、そして、面会に来る家族と医師との「対話」の機会を明らかに減りました。
その結果、患者さんのQOD(クオリティー・オブ・デス、死の質)が落ちているのではないか、と心配です。

こうした状況を打開しようと当院では、家族と率直に話し合いました。患者さんにとって最善な過ごし方は何か、一緒に考えましょう。
本人が決めるのが基本ですが、難しければ私たちで向き合っていくしかありませんと、真摯に伝えます。
面会制限の環境では、認知症が進んだり、その症状が表れたりする。せん妄という幻覚などの意識障害も出やすくなる。そうした様々なリスクも、納得してもらえるまで説明します。

面会制限下だからこそ家族と共有したいのは、患者さんが老いていく過程を受け止める「心構え」です。
親の死にばかり関心を向けるのではなく、そこに至るまでの今までの時間に思いを寄せてもらえる環境を作りたい。それが見えにくくなっているからこを、一緒に心構えをつくっていきたいですね」。


面会制限の教訓

配信 Willmake143

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